第1回
お薬と食事、飲みあわせ
第1回
お薬と食事、飲みあわせ
昔から「お薬をお茶で飲んではいけない」「お腹が空いているときにお薬を飲んではいけない」というお話は聞き覚えがあるかと思います。
これらは問題ないことも多いですが、飲み合わせや食べ合わせを心配される患者様は沢山おられ、実際に普段の生活習慣がお薬に影響することもあります。
それでは飲み合わせに注意が必要なお薬を見ていきましょう。
デエビゴ・ベルソムラと食事
デエビゴやベルソムラは比較的新しい睡眠薬であり、依存性やふらつきが少なく最近多く使われる睡眠薬です。
睡眠薬なのでお休み前にお飲みいただきますが、お仕事などの都合で食事をお休み前に摂る場合があるかと思います。
しかし、そうしたお腹に食べ物が残っているときにはデエビゴやベルソムラといったお薬は吸収が遅れてしまいます。
吸収が遅れることで効果も遅れてしまい、寝付きへの効果が弱まったり、朝まで睡眠薬が残ってしまうことがあります。
デエビゴやベルソムラを飲む場合には食後2時間ほど時間が経てば、こうした効果の遅れを防ぐことができると言われています。
対策としてはお食事の時間の調整、または別の種類の睡眠薬に変更を検討してみましょう。
ロキソプロフェンと炭酸リチウム
ロキソプロフェンは痛み止め、炭酸リチウムは気持ちの浮き沈みに使われるお薬です。
どちらも広く使われているお薬ですが一緒に飲む場合は注意が必要です。その理由は、ロキソニンが腎臓に働くことで体の中でリチウムが濃くなってしまい、
リチウムの副作用である吐き気や眠気が強まる可能性があります。
ロキソニンは市販されていますし、歯医者さんも使うことがありますので注意が必要です。
対策としては炭酸リチウムを飲まれている方はロキソニン以外の痛み止め(アセトアミノフェンなど)への変更を検討しましょう。
グレープフルーツジュースと
ブロナンセリン
ブロナンセリンは統合失調症の方がよく飲まれているお薬です。
ブロナンセリンは基本的に副作用の少ないお薬ですが、グレープフルーツジュースと一緒に飲むと本来よりお薬が約1.8倍ほど体内に吸収されてしまいます。
ブロナンセリンが効きすぎると手の震えや眠気など思わぬ副作用が現れることがあります。
グレープフルーツジュースは精神科のお薬だけでなく、血圧やコレステロールのお薬との飲みあわせにも注意が必要です。
対策としては普段から柑橘系のジュースをよく飲まれる方は病院や薬局で忘れず伝えましょう。
ちなみに、ブロナンセリンは飲み薬以外にも最近発売された貼り薬(テープ剤)があります。飲み薬はお腹で吸収されるためグレープフルーツジュースの影響を受けてしまいますが、貼り薬は皮膚から直接吸収されるためジュースの影響を受けることはありません。
いかがでしたでしょうか?
思いの外、身近なお薬や食べ物がお薬に影響することに驚かれた方もおられるかも知れま
せん。これを機に生活習慣やお薬を見直されてはいかがでしょうか?
当院は精神科専門医、漢方家庭医の院長が患者様の生活習慣や病状を見極めた上でご負担
の少ない治療をご提案いたします。
お薬に不安を抱かれている際には是非当院にご来院、ご相談ください。